1. KKD(勘,経験,度胸)の”組織智”化

DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味は、多く存在し得ると思いますが、私がたどり着いた結論は「KKD(勘・経験・度胸)の『組織智』化」です。

昔から「KKDに頼った経営は会社をつぶす」と言われていますが、実際には優れた経営者ほどKKDが優れていることが多いのではないでしょうか。この点について少し考えてみましょう。

まず、KKDの順番を「経験 → 勘 → 度胸」に変えてみます。これで何となく流れが見えてきます。天性的に優秀な経営者もいらしゃるとは思いますが、多くの優秀な経営者は、生まれながらにして優秀だったわけではなく、経験を通じて成長してきたと思います。

経営者は「多くの経験」を積みます。成功だけでなく失敗経験も含めてです。そして、その経験をもとに「勘」を働かせます。ここで言う勘は単なるひらめきではなく、その経営者の実績、知識、情報に基づいたものです。

次に「度胸」。これは意思決定のことであり、経験に基づいたシミュレーションを経て判断が下されます。つまり、優れた経営者は自分の経験をもとに、ある意味合理的で冷静な判断を行っているのです。

では、なぜKKDが批判されるのでしょうか。それは、KKDが個人の中にある「暗黙知」であり、そのプロセスが他の人には見えにくいからだと考えられます。外からは単なる思いつきのように見えることが、問題視されているのではないでしょうか。

そこで私たちは、DXは「経験」「勘」「度胸」という3つのプロセスを組織全体の「智」に変えることではないかと考えています。「知」ではなく、あえてこの字を使っています。

具体的には、KKDの「経験」をデータの蓄積、「勘」をデータの集約・分析、「度胸」を情報の活用に置き換えれば、DXでやるべきことが見えてきます。

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