5-2.蓄積する -(2)
情報の継続性の問題
『蓄積』においてもう一つ重要なのは、情報の継続性です。事業環境は常に変化し、それに合わせて情報を更新することが不可欠です。一方で、データは多くの場合、統計のソースとして利用されます。つまり、一定の期間同じ切り口(軸、ディメンションなど)でデータを蓄積しておくことで、情報として利用できるようになります。例えば、前期比較や三期比較などです。
5年の長期計画を立てる場合、5年間のデータが必要になります。また、販売データにおいては、お客様の買い替えスパンが7年であれば、7年間のデータを保有しておかなければ買い替え需要をつかむことができません。
データの持ち方と属性の重要性
こうした問題に対しては、ある意味、割り切りも必要かもしれませんし、データの持ち方を工夫することも考慮すべきです。基本的には「素データ」はできるだけ詳細な項目として持っておくことが重要です。例えば、販売管理で保有すべきデータは、主に「商品に関するデータ」「顧客に関するデータ」「組織・担当者など社内のデータ」となります。
これらのデータを「商品属性」や「顧客属性」として整理します。商品属性には商品名、商品単価、仕入単価、商品群、シリーズ、商品種別などが含まれ、顧客属性には法人顧客であれば法人名、業態、売上規模、資本金、従業員数など、個人顧客であれば名前、住所、メールアドレス、年齢などがあります。
「どのような属性が必要なのか」を、現在だけでなく中長期を見据えて考えておくことが重要です。DX推進にあたっては、目的とその指標を明確にし、アウトプットを出せるだけの属性を持ったデータを保有しておかなければ、「結局、何も見えない」という状況に陥ってしまいます。
社内DXを進めるには、一定のコストや投資も必要です。そのため、進めた以上はそれを上回る効果が求められます。途中で引き返すことのないよう、一つずつ丁寧に進めていくことが大切です。