5-1.蓄積する -(1)

経営管理DXにおける情報蓄積の重要性

経営管理DXで何をどう実現したいのかが決まれば、次のステップは必要な情報を蓄積することです。一見簡単に思えるこのプロセスですが、実際に進めてみるとさまざまな課題に直面することに気づくでしょう。
「システムに明細データが揃っているのだから、BIツールで集約すれば終わりだろう」と考えがちですが、実際には目的を達成できていないことが多いのです。

データと情報の違い

ここで「データ」と「情報」の違いについて考えてみましょう。

「データは意図を持たない、情報は意図を持つ」

この表現がわかりにくいかもしれませんので、具体例を挙げて説明します。あなたが商品仕入れを担当しているとします。今回、どの商品を何個仕入れるのかを報告する必要があります。仕入管理システムには以下のような商品在庫データがあり、販売管理システムには販売実績データがあります。

このように記録されたデータがあっても、単に数字を見ただけでは「何個仕入れれば良いのか」という問いに対する答えは得られません。これが「データは意図を持たない」という意味です。

そこで、これらのデータを使って以下のような表を作成しました。この半年間の最大・最小・平均の販売量、ブレ幅を考慮した在庫基準、そして在庫基準から算出した必要在庫を示しています。計算された必要在庫と現在庫の差である不足個数が「仕入れるべき在庫」となります。これによって仕入れ担当者は、何個仕入れなければならないかという基本となる「情報」を得ることができました。

この事例は単純化のため、既にシステムに保有しているデータを組み合わせて得られる情報としましたが、実際には必要なデータを保有していない、または保有していてもそのまま使えないという状況が起こることもあります。必要なデータが必要な形で存在しなければ、欲しい情報は得られません。

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